20231124 首

晴れ。

仕事は金曜日の割には落ち着いていて、スポット業務を進める時間が取れて良かった。

今日は映画「首」を会社の先輩と同僚の三人で観に行く約束をしていた。売店で先輩にワインとチュロスを奢ってもらう。わたしはなんと財布を家に忘れるというありさま。恥ずかしい。この三人でコロナ禍前はたまに映画を仕事帰りに観に行っていたのだが、数年ぶりに復活した。先輩はずいぶん上のポストに出世してしまったし、もう行くことはないのかなと残念に思っていたのが復活してうれしい。

「首」はとても楽しく観た。信長の小説を読むことで、時代劇の楽しみ方が少しわかった状態で臨めたのがよかった。「あ!これ本で読んだ馬揃えだ!」とか「黒人奴隷の弥助を実写化するなら副島淳の顔でイメージしてきたけどまんまと本人が来たぞ!」とか。あと「衆道~~~~!」「首実検って実写化のやだみがすごいな!」とか。安土城の造形、内部の色遣いや天守からの見晴らしのすばらしさ、そして信長のいでたちのおしゃれさなど美術もさすがだった。歴史ものって初見に近いから…何もかも新鮮。楽しみ方が分かるってうれしいことだ。

「首」に出てくる戦国武将はみんなずるくてえげつなくて暴力に迷いがなく欲にまみれていて、格好良さとはかけ離れた卑近な姿だったのがよかった。名だたる武将が全員ポンコツに見えてくるぐらい。戦国時代の小説を初めて読んで「戦国時代の覇権争いって武将はよく格好いい風のイメージだけどやってること皆えげつなさすぎでしょ~」と思ったところだったので、すごく納得感があった。彼らの持つ様々な顔の中にはもちろん「格好いい」「すごい」一面もたくさんあったんだろうとは思うけれど。

話の通じなさそうな爆弾みたいな狂犬信長が何よりよかった。愛に生きる信長像、新鮮。またキム兄扮する芸人・新左衛門とビートたけしの秀吉が対峙している場面はそのまま後輩芸人と大御所芸人という関係性も意図的にダブらせているのがうまくてずるいな~と思った。北野映画でしかできないことだ。

若干コントみが強くてテンションが緩んだ時間もあったけれど、それでも全編飽きずに楽しく観れたのでこのエンタメ全振り時代劇は劇場で観て正解だった。

しかし空気階段の踊り場で半年以上ほぼ毎週もぐらの物まねを聞き続けた「あなたこそが跡取りなのに…」が流れた瞬間はこの場面なんだって思わず笑ってしまった。

執拗なまでに「首をとる」ことが描かれてきたけれど、「大将の首をとったら戦いに勝ち、領土を獲得する」というルールのとてつもない野蛮さや若干の馬鹿馬鹿しさがそのまま戦国時代を象徴しているような気がしてラストもわたしはしっくり来た。

 

映画の後、一杯だけ飲もうと有楽町駅近くの立ち飲みの店へ。よもだそばの系列店とのこと。よもだカレーなど懐かしいメニューがあれこれある。ここは30分500円で酎ハイが飲み放題というスタイルのお店でかなり安い。どんな焼酎が使われているのかビクビクしたが、さすがよもだということなのかごく普通の甲類焼酎が使われていた。悪酔いせず。かき氷のシロップのようにいろんな味のシロップのボトルが置いてある。こういう時は無難が安牌なのでずっとレモンサワーを飲んでいた。

30分だけ飲んで解散。飲んで帰るとすぐ眠れないたちなので、寝たのは2時近かった。でも楽しい日だった。