20240101‐20240104 年始日記

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今日1/4で冬休みが終わるのでいったんここまでの日記。

 

20240101

いつもの時間に起きる。眠くて二度寝しようかと思ったが、なんとなく目が覚めてきたので台所に立ち出汁を取り雑煮を作る。具材は鶏もも肉、大根、人参、茹でたほうれん草に柚子の皮を添えたもの。

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写真はおかわりしたやつ。柚子を乗せ忘れた。

すまし汁のいつもの関東風だが、使ったのが家にあったいりこ出汁のパックだったのでいりこ風味だ。母が作ってくれた雑煮の味ははっきりと思い出せないが、多分こんな感じだったなと記憶と自分の作る雑煮の味が段々一致していくのを感じる。

一昨日届いて解凍していたおせちを開封していただく。

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今年は婦人画報のものを取り寄せてみた。ベーシックな味付けで、幅広い年齢層の人が食べるという感じ。おいしかったが、去年のオイシックスのおせちの方が好みだったかもしれない。

生放送のネタ番組をなんとなく見てぼんやりしてから身支度をする。

今日は新宿でアキ・カウリスマキ監督「枯れ葉」を観に行った。

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東京(の西側)で一番好きな日は元旦だ。大体いつも晴れているし、電車や街に人が少ない。今の家庭環境では元旦に親戚の家に集まったりすることがなく比較的自由に過ごせることもあって、大体元旦は街の様子を見がてら映画を観に行っている。

新宿は空いていた。歩いている人のほとんどが外国人観光客だった。年越しを日本でしたんだろう。

「枯れ葉」はいい映画だった。つましい労働者であるわたしにとって元旦にカウリスマキの新作を観るのはいいなと思って選んだのだが、まさにぴったりだった。

普遍的でストレートなメロドラマだったが、劇中でウクライナとロシアの戦争のニュースが断続的に流れており紛れもない今の話だった。同じ大陸の中で戦争が起きていても、生活は続くし誰かと誰かが出会って恋に落ちることもある。社会の中で理不尽な目に遭う登場人物たちへ注がれる温かいまなざしにこちらもなんだか励まされる。デートで見に行く映画のチョイスも最高だ。場内にクスクス笑いが起きていた。

いい映画だったな~とほわほわしながら帰途につく。

途中、最寄り駅のスーパーで近所に住む友達とばったり会う。わたしは食べきった餅を買い足しに来ていて、友だちは洗剤をカゴに入れており、スーパー日常だった。今年もよろしくね。

帰宅すると、家にいた夫が「ちょうど今地震があって長いこと揺れていた」と言う。歩いていて気が付かなかった。驚いて携帯を見ると続けて地震速報の通知が来て、能登半島震度7とある。アプリを立ち上げてラジオNHKを聞くとアナウンサーが津波警報が出ていると緊迫感のこもった声で話している。しばらく聞いていると大津波警報に切り替わり、途端に叫ぶような声に切り替わった。聞いていると涙が出そうで動悸がしてきた。Bリーグのブースターばかりのわたしの旧Twitterのタイムラインも地震の話で埋め尽くされている。TLを追っている間にも、どんどん余震とみられる地震の通知がやってくる。何をするのも落ち着かない気持ちになってしまい、その後何をしたかあまり覚えていないが寝る前には頭が痛くなったことだけは覚えている。夫がずっとゲームでテレビを使っていたのでニュースを見ることはなかったが、見ても今は何もできないし気持ちが落ち込むだけだったから見なくてよかったのかもしれない。

 

20240102

朝起きたら、ひどい頭痛だった。ガンガンするので起きてすぐ薬をフルセットで飲む。いつもの猫らの世話をした後、布団に倒れこんで11時まで寝る。今日は15時から映画の予約をしていたが、無理だと悟り諦めて再び寝た。ああ…チケット代…。

昼過ぎに再度起きたら少し動けるようになったので、ベッドにPCを持ってきて進撃の巨人の続きを見る。S5に突入。

続けて友だちにお勧めされていた「長ぐつをはいたネコと9つの命」を観る。アクションの漫画的な演出が楽しい。(有害な)男らしさからの脱却、仲間たちと疑似家族になることで互いの傷を癒していく過程は丁寧で、何より肩の力を抜いて楽しめる作品だった。猫飼いとしては時折出てくる猫の仕草がたまらなくかわいかった。

夜、飛行機事故の報を聞く。

 

20240103

頭痛は続いていたが、薬が切れたらすぐ飲むようにしているのでなんとか生活ができる。今日は日比谷でリドリー・スコット監督「ナポレオン」を観る。

3日の銀座はそこそこ人がいた。初売りも始まってるしね。

「ナポレオン」は158分の長さを感じないあたりさすがリドリー・スコット御大という感じがする。合戦シーンでの引きの画の迫力、リッチさに唸る。うーーん、潤沢な予算を感じる~~~~!

ナポレオンのことは詳しくないが、この映画でのナポレオンの「フィクション」に反発があがっているというのは事前に聞いていた。確かにこのナポレオンは、卑近で器が小さくとても嫉妬深かった。北野武監督「首」にも通じる「英雄などいない!!!」というリドリー・スコット監督の主張は、ナポレオンガチ勢・西洋史ガチ勢には受け入れがたいものがあるだろうがわたしは結構好きだった。ジョセーフィヌのヴァネッサ・カービーの妖艶で少し人並外れた雰囲気は、とても素敵だった。冒頭のショートカット、よく似合っていた。悪妻として語られることが多いというジョセフィーヌは今作ではナポレオンと共依存関係だったこともすごく印象的だった。

4時間半のディレクターズカット版がそのうち公開されるようで、ジョセフィーヌの場面が増えるようなので公開されたらまた観たいと思う。

映画を観た後、無性に麺類が食べたくなり舎鈴で担々つけ麺を食べた。

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つけ汁を服に飛ばさないようもたもたと食べていたら、隣の席の若い女性が麺をかまずに一気にすすり上げる食べ方がとても上手で少し見惚れてしまった。わたしもそれできるようになりたい。

寝る前、山手線の秋葉原駅車内で4人刺したというニュースが入ってくる。

 

20240104

頭痛はまだ続く。先月はひどい頭痛が一週間続いたので、そのつもりでいるので驚きはない。淡々と起床即薬を飲む。猫らの世話の後、コーヒーを淹れちびちび食べていたシュトーレンを食べきる。そして9時半まで二度寝した。夫は腰が痛いと言っていてつらそうだ。ゲームのし過ぎだと思う。二度寝したら頭痛がましになったので洗濯をして、身支度をした。

午後から吉祥寺でヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」を観た。先に友だちが観ており感想もなんとなく聞いていた上に、会社の先輩が「観たよ いけすかんね」とバッサリだったのであまり期待していなかったのがさすがヴェンダースというのか期待よりずっと良かった。

ただ、役所広司+ヴェンダースの映画ではあるのだが、なんというかファッション清貧とでもいうような脱臭された「慎ましくていねいな暮らし」が看過できないレベルで鼻につく作品だった。役所広司が演じる平山はトイレ清掃員というブルーカラーでありながら、彼が清掃を担当するのは意匠をこらした綺麗なトイレのみ。東京にはそんなトイレしかありませんとでもいうように…。古いアパートに住みながらも貧乏ではない暮らし方(アパートだがメゾネットのような間取り、毎日外食、毎日銭湯、使う洗剤は割高な個包装タイプ、スーパーは登場せずコンビニのみ、おまけに育成ライトを24時間使用、私服は地味ながら新品のよう、趣味のフィルムカメラオリンパスμ)はきょうびとても贅沢な趣味、などなど)。彼がプリントしたボツの写真を躊躇いもなく破り捨てるのをみて、ちょっと「ぐぬぬ」となった。プリント1枚だってお金がかかるんだぞ。

彼の暮らしは嫌というほど文化的だ。行きつけの古書店があり、行きつけのカメラ店があり、植物を大事に育て、行きつけの飲み屋のママは紅白に出られそうなほど歌がうまい(これはあんまり関係なかった)。

途中、なぜ彼が文化的な生活をしているのかを察せられる展開があり「ああ、彼は「下りてきた人」なんだな」と納得した。このくだりがなかったら、この映画は結構いらいらしたかもしれない。

あとから友だちに教えてもらったが、もともとファーストリテイリング(トイレプロジェクト)と電通、渋谷区の企画から始まった映画なのだという。そこにヴェンダースがよくはまりこんだな!とびっくりする。

ポスターを改めて眺めてみると「こんなふうに生きていけたなら」とある。それは本当にそう。映画としてはとても美しい。選曲も最高だった。途中若い女の子にぽーっとなるくだりは、本当に見てらんないと思ったしあの場面は要らなかったと思うけど。そんな形で「平山の異性への免疫のなさや平山の朴訥な魅力が若い女に通用する」みたいなことを描かないでほしかった。

あれこれ書いたけれど、この違和感は、日本が舞台であることによって、画面の中が解像度が高く見えてしまう弊害なのかもしれないとも思っている。きっと海外の映画でも異国フィルターで多大に見落としていることがたくさんあるんだろう。
いい映画だと思うし、役所広司は本当に素晴らしい役者だと思うけれど、そんなに綺麗事ばかりではないと真っ先に思ってしまい、世の中を見る目が濁ってしまった己の悲しさを目の当たりにした。

 

いろいろ考えていると、トイレ清掃員というブルーカラーに主人公を置き、主人公はその環境に満足し受け入れるという映画を行政と大企業がスポンサーとなって作るってやっぱり結構グロテスクに思えてきた。

 

友だちと感想のキャッチボールをしながら帰宅。カレーが食べたかったのでマッサマンカレーのペーストを使ってカレーを作った。マッサマンカレーを作ったのは初めてで、正解がよく分からない。まずくはなかった。